One More Cup Of Coffee / コーヒーもう一杯 (Bob Dylan / ボブ・ディラン) 1976


One More Cup Of Coffee - Bob Dylan 投稿者 chrisdimou2005

Your breath is sweet
Your eyes are like two jewels in the sky
Your back is straight,
Your hair is smooth
On the pillow where you lie

But I don't sense affection
No gratitude or love
Your loyalty is not to me
But to the stars above

おまえの息は甘く
おまえの瞳は空の二つの宝石のようだ
おまえの背筋はまっすくで
横になった時の枕のうえの
おまえの髪はつやつやしている

でも俺に愛する気持ちはない
感謝の気持ちも恋愛感情もわかない
おまえが忠誠を誓うのは
俺じゃなく空の星に対してなんだ

One more cup of coffee for the road
One more cup of coffee 'fore I go
To the valley below

コーヒーをもう一杯くれよ
旅に出るその前に
コーヒーをもう一杯くれよ
下の谷へと降りる前に

Your daddy, he's an outlaw
And a wanderer by trade
He'll teach you how to pick and choose
And how to throw the blade
He oversees his kingdom
So no stranger does intrude
His voice it trembles as he's calling out
For another plate of food

おまえの親父は無法者さ
"さすらう"ことが商売で
おまえに教えてくれるのさ
引っ掛け方と選び方
そして刃物の投げ方をね
やつは自分の"王国"を管理していて
よそ者の侵入をさせないんだ
やつの声は叫ぶときに震えるんだ
"おかわりをもう一杯"って言うときに

One more cup of coffee for the road
One more cup of coffee 'fore I go
To the valley below

コーヒーをもう一杯くれよ
旅に出るその前に
コーヒーをもう一杯くれよ
下の谷へと降りる前に

Your sister sees the future
Like your mama and yourself
You've never learned to read or write
There's no books upon your shelf
And your pleasure knows no limits
Your voice is like a meadowlark
But your heart is like an ocean
Mysterious and dark

おまえの妹が未来を知るのは
ちょうど母親やおまえ自身と同じ頃
おまえは読み書きを学んでこなかった
本棚には本が一冊もないんだ
おまえは限界のないほど快楽を求める
おまえの声はマキバドリの泣き声みたいだ
でもおまえの心は大海のようさ
神秘的で暗いんだ

One more cup of coffee for the road
One more cup of coffee 'fore I go
To the valley below

コーヒーをもう一杯くれよ
旅に出るその前に
コーヒーをもう一杯くれよ
下の谷へと降りる前に

Writer/s: DYLAN BOB, BOB DYLAN
Publisher: BOB DYLAN MUSIC CO

by trade=職業は、商売は、~を職業とする、職業柄
intrude=〔場所に無理に〕侵入する、押し入る
oversee=〔人や仕事を〕監督[監視]する
tremble=(恐怖・怒り・寒さ・病気などで)震える,身震いする
meadowlark=マキバドリ

Released in1976
From The Album“Desire”

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ボブ・ディラン、ノーベル文学賞受賞、おめでとうございます。

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(写真:産経新聞 YAHOO!ニュースより)

◆びっくりしましたね。日本の新聞でも一般紙が一面にみな取り上げました。

歌の歌詞についてどこまで「文学」といえるのかどうか。もちろんこうした話はあるわけで、文学界では賛否続出とのことですね。

 僕はボブ・ディランを聴き込んでいるかというと、ベテランのディランファンの方の足元にも及びません。でも、ディランの書く歌詞には深いメッセージがソングライターの技巧も持って込められているのを感じています。直接的な言葉をそのまま歌にするのではなく、比喩的な表現を用いたり、歌詞に載せる長さに合った言葉を選び、また音も韻を踏み…そして時代時代に合わせてメッセージを発してきました。多くのミュージシャンに影響を与え、もちろんまた一般のリスナーもディランの曲に影響されてきました。
このことを「文学」という範疇に含めるのかどうかはわかりませんが、明らかに文学的な作品といえるだけのものはあると思います。

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◆一方、そうなってくると、僕のつたない和訳を掲載するこのブログですが…。ディランが歌詞に込めたメッセージをしっかり受け止め、日本語としてもできるだけ近い意味で訳されているかどうか。長さや音を考えてあえてこの単語を選んだというものを日本語にする際に、その意図を踏まえたものとしているのか…などなど、和訳すること自体不可能で、何の意味があるのか、とも思えてしまいます。

今回のディランのノーベル文学賞の受賞にあたっては、この和訳ブログについてもあらためて考えてみました。あくまでも僕自身がアーティストの作品を味わい、また、僕がそうやってその作品を楽しみ、敬意を払っていること。それをブログを見にきてくれる方に間接的な形で紹介する...そんなことです。ディラン、おめでとう!

◆アルバム「欲望(Desire)」に収録された「コーヒーもう一杯」。大作「ハリケーン」に続くシングルにもなりましたね。このけだるい感じ、何かもの淋しいメロディ。フィドルがその感じをかきたててきます。"コーヒーもう一杯くれよ"という言葉、そして意味深な"下の谷へおりていく"という説明。何か…"別離"?"死"?などに繋がっているような感じを受けました。そして終わり方も唐突です…。ディランとデュエットしている女性ボーカルはエミル―・ハリス(Emmylou Harris)です。

僕の持っているCD国内盤のライナーノーツにてこの曲はこう書かれています。

"コーヒーもう一杯"をディランは'75年5月24日、つまり34歳の誕生日に書いた。南フランスで休暇を過ごしていたディランは、ジプシーの祭りに出かけ、そこでジプシーの王と会ったという。このときの体験を基にこの歌を書いた。だからこそこれまでにディラン、あるいはアメリカの音楽にはなかったメロディが生まれたのだろう。「下の谷におりる」という歌詞は宗教的なイメージを浮かび上がらせる。ユダヤ人の血がディランの中で沸き起こり、古代へと手招きしているようでもある。(菅野ヘッケルさん 参考資料:「ボブ・ディラン大百科」)



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全体を覆うこの曲の雰囲気。ジプシーの話をモチーフにしているということで少々納得したものがありました。なにかこう超人間的なものが醸し出されている感じです。一方、この曲はディランの当時の奥様"サラ"との関係を歌ったものとも言われていますね。二人は1977年に離婚しています…。僕は"谷へ下っていった…"という歌詞とこの関係がつながっているように感じてしまいます。
はい、この3分45秒の曲のなかに物語やメッセージが様々な技巧を使って込められているんですね。「文学的作品」である、との解釈は「音楽」に新たな可能性を見せてくれるものでもある気がします。

◆"コーヒーもう一杯"、1975年 ローリングサンダー・レヴューのときのものだね。
↓↓↓↓↓


(この曲を購入)amazon.co.jp
Desire (Reis) Original recording remastered, Import
ボブ・ディラン
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コメント

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いつもありがとうございます!

初めまして、こんにちは。
何時も楽しく拝見させていただいています。
月1ビリーが今か今かと待ち構えてる者です笑

曲のリクエストがしたいのですが、
スティービーワンダーのsuperwomanの和訳を是非していただきたいです。
良かったらお願いします!

おめでとうございます!

洋楽ファンとして、ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞、素直にうれしかったです。おめでとうございます!
私も、ボブ・ディランを聞きこんでいるのかというとそうではなく、ディランファンに怒られてしまいますが、でもこの曲「コーヒーもう一杯」、そして「ハリケーン」(私のブログでは「ハリケーン」を紹介しましたが)、歌詞はわからないながらも心にズシンと響く奥深い歌だなあ!、と感じていました。
今年のノーベル文学賞、改めて洋楽を聞いていてよかったなあと思いました。

No title

Billy Joel大好きさん、コメントありがとうございます!10月の月イチ・ビリー掲載しました。有名曲はいろんな解釈、和訳がすでに世の中に出回っていますので緊張しますね(^▽^;)。スティーヴィーの"Superwoman"、シリータさんのことを歌った曲ですね。気を長くして待っていてください!

No title

星船さん、ディランの受賞、びっくりしましたね。
今朝(10/17)の新聞に萩原健太さんも書かれていましたが、ディランは1番、2番と、verseの最後に曲名のフレーズを入れることが多い、とのこと。確かにそうです。verseによって物語は場面が変わったり、新たな展開を見せていくのですが、最後にびしっとフレーズで決めます。これはものすごく意図的で、詩的ですよね。この曲はverseの最後ではなく、サビコーラスで“One More Cup of coffee”が出てきます。”谷に下っていく”、谷とは何か?そしてその前に飲みたいコーヒー、しかもお代わり。ものすごく濃いブラックコーヒーだったのか?アメリカンで物足りなかったのか? 谷へ下る前の主人公の心境について、リスナーの想像力をかきたてますね。あと、やっぱりコーラスで重なってくる女性ボーカル(スタジオ盤ではエミル―・ハリス)がいいんだよな。女性ボーカルが高い部分、メロディをはっきり歌い、ディランは下の方でぶつぶつ…。これもなんか意味があるのかと考えてしまいます。この年になったからこそ、気が付くこともあるディラン。引き続き聴いていきたいですね。