Masters Of War / 戦争の親玉 (Bob Dylan / ボブ・ディラン) 1963



Come you masters of war
You that build all the guns
You that build the death planes
You that build all the bombs
You that hide behind walls
You that hide behind desks
I just want you to know
I can see through your masks.

さあ 戦争の親玉たちのお出ましかい
あんたたちは銃器を作り
あんたたちは人を殺す飛行機を作る
あんたたちは爆弾を作り
あんたたちは壁の後ろに隠れて
机の陰に隠れてる
あんたたちにこれだけは知っておいてほしい
俺にはあんたたちの仮面の下の素顔がお見通しなんだ

You that never done nothin'
But build to destroy
You play with my world
Like it's your little toy
You put a gun in my hand
And you hide from my eyes
And you turn and run farther
When the fast bullets fly.

あんたたちは何もしないんだ
壊すこと以外はね
俺の住む世界を
ちっぽけなおもちゃのようにもてあそぶ
俺の手に銃を握らせ頭にかざしたら
俺の目前から消え失せる
目にもとまらぬ速さの銃弾が撃たれたら
まわれ右をして遠くに逃げるんだ

Like Judas of old
You lie and deceive
A world war can be won
You want me to believe
But I see through your eyes
And I see through your brain
Like I see through the water
That runs down my drain.

いにしえのユダのように
嘘をついて騙すんだ
「世界大戦は勝つ」
そう俺に信じ込ませようとする
でもあんたたちの目を見りゃわかるぜ
俺にはあんたたちの頭のなかがわかる
下水管のなかを流れる水のように
透けて見えているのさ

You fasten all the triggers
For the others to fire
Then you set back and watch
When the death count gets higher
You hide in your mansion'
As young people's blood
Flows out of their bodies
And is buried in the mud.

他の奴らには撃たせておいて
あんたたちは自分の引き金は止めておく
そして奥に下がって眺めるんだ
死者の数が増してきたなら
自分の邸宅にひきこもるんだ
若者は身体から血を溢れさせて
泥のなかに埋められていく…

You've thrown the worst fear
That can ever be hurled
Fear to bring children
Into the world
For threatening my baby
Unborn and unnamed
You ain't worth the blood
That runs in your veins.

あんたたちはこれまでにないほどの
最悪の恐怖をふりまいたのさ
この世に子どもを産むことの
恐怖を運んできたんだ
生まれる前の 名前もない
俺の赤ちゃんを脅かすんだ
あんたたちはその血管のなかに
流れる赤い血に値しないんだ

How much do I know
To talk out of turn
You might say that I'm young
You might say I'm unlearned
But there's one thing I know
Though I'm younger than you
That even Jesus would never
Forgive what you do.

立場を考えずモノを言うなんて
俺はどれだけのことをわかっているのか
あんたたちは言うかもしれない
俺はまだ若くて
何も知らない若造だと
でも俺もおまえより若くたって
ひとつだけわかってることがある
それはイエス様ですら
あんたたちがすることを
決して許しはしないということさ

Let me ask you one question
Is your money that good
Will it buy you forgiveness
Do you think that it could
I think you will find
When your death takes its toll
All the money you made
Will never buy back your soul.

一つだけ聞きたいことがある
そんなに素晴らしいあんたたちの金で
許しを買うことができるのかい?
本当にできると思ってるのかい?
あんたたちもそのうちわかるはずさ
あんたたちの死は損失をもたらすのさ
有り金を全部積んだって
魂は絶対に買い戻せやしない

And I hope that you die
And your death'll come soon
I will follow your casket
In the pale afternoon
And I'll watch while you're lowered
Down to your deathbed
And I'll stand over your grave
'Til I'm sure that you're dead.

あんたたちも死ぬがいいさ
死はまもなく訪れる
俺はあんたたちの棺桶を
薄暗い午後に追いかけていく
あんたたちが死のベッドに横たえられて
埋められるのを見届ける
そして その墓の上に立って
しっかり死んだのか確かめてやるよ


Writer(s) Bob Dylan
Composer(s) Traditional/Jean Ritchie

drain=放水路,下水管
hurl=強く投げる 飛びかかる
talk out of turn=考えなしに[軽率に]話す
take one's toll=大損失・大打撃をもたらす
casket=(長方形の)棺

Released in 1963
From The Album“The Freewheelin' Bob Dylan”

4973fc92fe2044739dccd57f49aeef9a.png

8月6日=ヒロシマへの原爆投下の日。毎年の8月6日は「反戦=平和を希求する歌」を取り上げています(今年で4年目)。1年目は"Where Is The Love?"(Black Eyed Pears)。続いて Billy Don't Be A Hero / 悲しみのヒーロー(Bo Donaldson & The Heywoods)。昨年は"The War Song/戦争のうた"(Culture Club)でした。

◆今年はディランの「戦争の親玉」にしました。
 ディランの初期の曲は、そのメロディをトラディショナルなフォークソングなどから借りてきたものも多く、「戦争の親玉」もその一曲です。この曲は、古いアパラチア民謡である“ノッチマン・タウン(Nottamun Town)”のメロディを借りています。アパラチア・・・ニューヨーク州からミシシッピ州まで伸びるアメリカ合衆国東部の地域~アパラチア山脈周辺地域の田舎と都会と産業化された地域ですね。
 一方“ノッチマン・タウン”はベテランのフォークシンガーである“Jean Ritchie”がアレンジをしていて、“Ritchie”の一家に世代を越えて受け継がれてきていました。最終的に、ディランがこのメロディを使用するにあたっては、アレンジのクレジットに彼女の名前を入れたうえで、5000ドルを支払い、法的に決着がついたとのことです。

(Norramun Townの歌詞はこんな感じらしい)

In fair Nottamun Town, not a soul would look up
Not a soul would look up, not a soul would look down
Not a soul would look up, not a soul would look down
To show me the way to fair Nottamun Town

I rode a grey horse, a mule roany mare
Grey mane and grey tail, green striped on his back
Grey mane and grey tail, green striped on his back
There wa'nt a hair on her be-what was coal black

3497903262_b36b47088c.jpg

◆この曲についてのディラン自身のコメントです。(アルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」国内盤ライナーノーツより)

僕は今までこのような曲は書いたことがなかった。僕は人々が死んでしまえばいいと願う歌なんか歌わないんだが、この曲だけはどうしようもなかった。この曲は非常に攻撃的なもので、わずかな望みにすがる事への反動であり、こんな世の中で自分はいったいどうしたらいいのかという気持ちを唄ったものだ。


 戦争がなぜ起こるのか?それは「戦争を起こそうとする者がいる」から、ということを明確に歌った歌詞です。それが"Mastesr of war"。日本語では「戦争の親玉」と訳されていますが、敢えて正確に訳せば"Masters"と複数ですから「親玉たち」。「親玉」は一人ではありません。。
ディランはこのように弁解の弁を述べているのは、いかに親玉と言えども"And I hope that you die And your death'll come soon..."なんて歌っていいはずがない。でもそれだけディランが"Master of war"を憎んでいる、ということが伝わってくる「攻撃的」な歌ですね。

◆「平和な」世の中でありますが、「貧富」の差はかつてないほどに広がっています。日本では全労働者のうちの派遣労働の割合は4割を越えました。「安保法案」が可決する際に、この法案が必要だと主張する人達は「戦争を抑止する法案」と言っていましたが本当なのでしょうか。私たちの暮らしをめぐる社会の状況がどうであるのか。ディランは1963年の社会のなかで歌わざるを得なかったのです。
 この曲が歌われてから、53年が経っています。もし「戦争の親玉」がまだ生き延びているのであれば、きっと巧妙な手口を使って、身を隠しながら蜜を吸っているような気がします。私たちは詩人じゃないけれど、今の時代にこの曲「戦争の親玉」にどんなverseを付け加えましょうか。

e5957-bob-dylan-by-hunstein.jpg

◆僕のブログではやっぱり僕の好きなポップソング、歌詞ではどうしてもラヴソングが多くなってしまいます。それはそれで大切にしていきますが、カテゴリ「人生・世界を考える」に入る曲も意識的に取り上げていこうと思います。平和な世の中を希求して…。

◆“戦争の親玉”のメロディはここから“Nottamun Town”(by Jean Ritchie)
↓↓↓↓


◆パール・ジャムの歌う「戦争の親玉」
↓↓↓↓↓


◆若いアーチストも取り上げています。こちらはエド・シーランが歌う「戦争の親玉」。
↓↓↓↓↓


◆この曲を買いたい
フリーホイーリン・ボブ・ディラン(期間生産限定盤) Limited Edition
ボブ・ディラン

4973fc92fe2044739dccd57f49aeef9a.png

関連記事

コメント

非公開コメント