Hey Ahab / ヘイ・エイハブ (Elton John & Leon Russel / エルトン・ジョン&レオン・ラッセル)2010



It's a constant struggle
getting up that hill
There's a change of guard every day
When you're clinging onto a driftwood boat
You pray a great white whale
might come your way

"丘に登る"のは大変なのはわかってる
"衛兵"が毎日変わるんだ
おまえは"いかだ"にしがみついて祈る
白鯨が目の前に現れてくれることを

No freeway traffic in the frozen North
Just a chain link fence full of birds
And when the harpoon's loaded
in the cannon bay
You'll be rolling through the pages
lost for words

凍り付いた北の地じゃ交通渋滞もない
沢山の鳥たちがとまる金網フェンスだけ
船の先頭の大砲に"もり"が積まれると
ページがめくられるように
おまえは何も話さなくなる

Hey Ahab
Can you tell me where
I can catch a ride out of here
Hey Ahab
hoist that sail
You gotta stand up straight
When you ride that whale

なあ エイハブ
どこに行けば俺はここから
出て行けるか教えてくれよ
なあ エイハブ
帆を高く掲げよう
おまえがクジラの背に乗るときに
真っ直ぐに立ち上がっていくように

In a crumbling city
we were trapped for days
With a broken sun above the clouds
Caught like Jonah forty fathams down
And a sign on the wall saying,
"Hope Allowed"

滅びゆく町で
雲の上には壊れかけの太陽
俺たちは罠にかかってヨナのように
海深く連れていかれてるのさ
壁にはこんなサインが書かれてる
"許されることを祈る"

All the cryptic symbols carved on bone
A far cry from a tattooed rose
And when the boys in the rigging
catch the wind
We'll all weigh anchor
and it's westward ho!

骨に刻まれた秘密の傷の数々は
薔薇のタトゥーとはまったく違うのさ
索具を操る船員たちが
風をとらえたら
錨を引き上げ出発さ
行き先はウエストワード・ホー!

Hey Ahab
can you tell me where
I can catch a ride out of here
Hey Ahab
hoist that sail

You gotta stand up straight
When you ride that whale

おい エイハブ
どこに行けば俺はここから
出て行けるか教えてくれよ
おい エイハブ
帆を高く掲げよう

おまえがクジラの背に乗るときに
真っ直ぐに立ち上がっていくように…

Writer(s): Elton John, Bernie Taupin
Copyright: Hst Publishing Ltd., Cow Dog Music Inc.

constant struggle to=~はいやというほど思い知らされている
Changing of the Guard =(バッキンガム宮殿などでの)衛兵交代(式).
driftwood=流木
great white whale=白鯨=Moby Dick
chain link fence=ダイヤ型に編んだ鋼鉄ワイヤのフェンス
harpoon=(捕鯨用の)もり.
bay=(船の)中甲板最前部.
lost for words=言葉に困る、言葉を失う
catch a ride with=(人)の車に乗せてもらう
hoist=〈旗などを〉揚げる;
crumble=ぼろぼろにくずれる,砕ける
fathom=ファゾム=主に海で用いる長さの単位で,6フィート(約1.83m)
Jonah=ヨナ=クジラのおなかの中で三日三晩過ごした、聖書に出てくる「ヨナの物語」
cryptic=隠れた,秘密の、神秘的な
a far cry from=はなはだしい隔たり
rigging=索具(さくぐ)
=マストに繋がってる紐の全部
weigh the anchor=航行に備えて錨を引き上げる
Westward Ho!=イギリスのデボン州の村の名前。1855年に出版されたチャールズ・キンズリーの手による同名のベストセラー小説が元。

Released in 2010
From The Album"The Union"

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 先日の来日公演で"レオン・ラッセルと一緒に演った曲だよ"とエルトンが紹介した曲がこの曲、"ヘイ エイハブ(Hey Ahab)"です。
 実は…今回初めて聴きました。レオン・ラッセルとエルトンが共演して、アルバムを出したしツアーもしていた、というのは耳にしていたのですが…スミマセン(^▽^;)←誰に謝っとんねん。

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◆この曲を取り上げて和訳したいと思ったのは、ライヴでエルトンがなかなか気合い入れて歌っていたから、レオン・ラッセルとの共演曲はどんな曲かな?というのもあるのですが、タイトルに出てくる人名?"Ahab"は誰なのか?、が気になって、どんな曲かがより興味があったので調べてみたのがきっかけです。
"Ahab"とは…?すると…2つ出てきました。

(1)(紀元前9世紀)旧約聖書によれば、異教徒のイスラエル王で、イゼベルの夫 (Weblio英和辞典)

(2) ハーマン・メルヴィル(Herman Melville)の主著、『白鯨』(Moby-Dick, or the Whale, 1851)に出てくる、偏執狂の船長。片足をモウビィ・ディックと呼ばれる白い鯨に食われたことから、狂気じみた憤怒をこの鯨に抱き、全てをなげうってでもこの鯨を倒さんと欲するようになる。(はてなキーワード)←「白鯨」の詳しいストーリーはこちらを参照。

(2)の「白鯨」に片足を喰われたエイハブ船長、名前まで知りませんでしたが、当然この物語は知ってます。ちなみにエイハブという船長の名前は(1)の聖書の話から取ってあるということ。「白鯨」の話を小説や映画で知ってた人は「Hey Ahab」というタイトルを聞いてピンと来るものがあったのかもしれませんが、僕はそうでありませんでした。歌詞を確認すると、宿敵の白鯨の名前"Moby Dick"(Led Zeppelinのボンゾのソロに曲名がありますね)という名前は出なかったけど、"great white whale"やら"Jonah"やら"白鯨"の物語に沿った単語・人名が出てきます。そうかあ、でも物語「白鯨」をモチーフにして「おい、エイハブ」って何を話しかけてる歌なのか、がぜん興味は沸いてきました。

白鯨

◆「なあ エイハブ」と、船長に話しかける主人公(空の上から?)。彼は自分の生き方にどうも迷いがあるみたいですね。
"白鯨"に挑み、片足を食いちぎられてしまったエイハブ船長。エイハブは「恨み」という情念にかられて…ということではありますが、白鯨"モビー・ディック"を倒すという一つの目標に向かって突き進み、残りの人生をそのことのみに捧げた人物。主人公はエイハブのこの生き方に共感するものがあったんでしょうね。

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◆歌詞は、北の寒い海で"白鯨"と会うために、毎日毎日暮らす地味な日々、でもいざ"白鯨"と対面しそうになると、すごく緊張感が走ります。

It's a constant struggle getting up that hill
…これは"白鯨"の背中に乗る、あるいは"もりを撃ち込むこと"なのかなと思いました。

There's a change of guard every day
…これはちょっとわからない。人間、ゲームであっても親分や敵ボスの前に護衛の兵(change of guard)がいるのですが、"白鯨"にもいるのかな。映画か小説を読まないとわからないかな。

In a crumbling city …
…この部分は現代社会で暮らす自分達のことを言っているのでしょう。"Caught like Jonah forty fathams down"="ヨナのように40ファゾム下に"ですが、「ファゾム」は海での長さの単位だそうで、1ファゾムは6フィート(約1.83m)です。ですので40×1.83=73.2mということで最初は"約70m下に"と訳したのですが、Jonahが聖書の「ヨナ物語」の"ヨナ"で、クジラのおなかの中で三日三晩過ごしたという話の人物であることから、ヨナのようにクジラのおなかに入れられて、海深く連れていかれて自由を失っている状況を行ってるのだろうと考えました。ですので正確な単位はいらないだろうと思い「海深く連れていかれ、閉じ込められて自由を失ってる」とかなり意訳しました。

実際には「ヨナの話」と「白鯨」の「エイハブ」の絡みがあったわけではありませんが、クジラと戦う「エイハブ」は、現代社会で「囚われている自分達」をおなかから出してくれるかもしれない存在、という設定なのかなと思います。

westward ho!
…実際にある村の名前なんですね。「!」マークのつく地名も珍しい。何でもこのタイトルの小説があるようです(作者はチャールズ・キングスレー)。なぜこの地名が歌詞に使われたかはちょっとわかりませんが、この「westward ho!」は「お母さん?を探しに兄弟がアフリカの果てまで旅する」物語のようです。"白鯨"を求めてどの海にも行くぜっていう意味なのかと思いました。

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◆作詞はエルトンのソングライティングの相棒バーニー・トゥピンです。西洋の人にとって"エイハブ"~"白鯨"の物語はどんな風に受け止められ、どのくらい知られているのかな。"エイハブ"と聞くと、どんな人を想像するのでしょうかね。バーニー自身もエイハブのようになりたかったり、また、エイハブのような人物が現れてほしいと思っていたのかな。

◆「Hey Ahab」はエルトンのソロとしてライヴで聴きましたが、レオンとのライヴやアルバム「The Union」のなかでは、エルトンがメインで歌いつつも、コーラスでレオンが絡んできますね。エルトンはファルセットで歌うのはきつくなってきているかもしれませんが、この力強い歌声がこの曲に合っていますよね。女性のバッキングボーカルもカッコいい。レオンは…ほんと仙人みたいだな(笑)

◆アルバムの「Hey Ahab」。コーラスから絡んでくる、低いレオンの声がよく聞こえます。ほんと仙人っぽいな。
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◆エルトンとレオンが向かい合い、ピアノを連弾。"Hey Ahab" From The Bonnaroo Music Festival June 15th, 2014
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◆アルバムではこのバラード"When Love Is Dying"がよかったな。レオンのボーカルから始まります。ソングライティングはバーニー&エルトン。バックコーラスはビーチボーイズのブライアン・ウィルソンが参加しています。
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◆映画「白鯨(Moby Dick)」は1956年に上映されました。エイハブ役はグレゴリー・ペック。2010年にリメイクされましたが、ただし原題は"Moby Dick"で変わりませんでしたが邦題は「バトルフィールド・アビス」。

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Abyssというのは"地の底・海底"って意味ですね。ジェームズ・キャメロン監督の映画"アビス"がそこそこの人気だったのでそうしたのかな。
予告編(Trailer)の違いをお楽しみください。

(オリジナル1956年)


(リメイク版2010年)


(この記事で参考にしたページ)
・Wikipedia The Union
・Wikipedia 白鯨

(この曲を購入)
Union CD, Enhanced, Import
エルトン・ジョン レオン・ラッセル

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コメント

非公開コメント

No title

めったさん こんばんは。

私はあまりElton、知らないのですが、今回初ライヴに。 (^^;
よって、曲紹介の時にレオン・ラッセルの名が挙がった時、
そのことを知らずに・・。
ただ、手元のライヴメモにはレオン・ラッセルとメモっていました。
あとで機会があれば調べてみたいな、と思っておりましたら・・。
おぉ、このことでしたか! 
( ゚Д゚)
しかも、しかも・・・
このプロジェクトに伴うアルバム& ツアーもあったんですね。
日本では・・・反応、地味かもしれませんが、きっと
海外、アメリカだったら、このカップリングは超がつく大物同志の
豪華カップリング・ツアーなのだろうと想像します・・・。
When Love Is Dying というバラードがアルバム中、良いのですか。
どんなアルバムなのでしょう。 私はLeon Russel自体も みんなが
知っているアノ曲・・程度にしか知らないのですが。 (汗)
  (^^;
イメージですと、違うタイプのソングライターがタッグを組んで、
どちらのアルバム寄りにもならない、新しい世界が展開されているの
かな、なんて想像したりして・・。
すごいですね、大物すぎる二人の組み合わせなんですね。
どんな感じのアルバムでしょうか・・・?

実は聖書に出てくるようなこういった名前を登場させたり
する歌詞世界にも以前から少し興味があります。
ロックの世界でもたびたび出てくる聖書物語からの引用。
それは西洋絵画にもよく描かれているし・・・。
時代は違うけれど、現代のロックにも自然と登場させられる
のは、宗教観というものがいつも頭の中にある、というか・・。
最近は海外も宗教離れが目立っているようですが、それでも
街にはふつうにあちこちに教会があったりすることから、
欧米に限らず海外の多くの人は少なくとも私達よりも常に
身近に接している人たちなのでしょうから。
グレコリイ・ペック。 少し前の・・・二枚目の象徴の
ような方でしたね。 この映画を観たことはないのですが、
かつての「名画」、「アラビアのロレンス」などと同じ頃
一緒に紹介されていたような・・。 いつか観てみたいと
思いつつ、観たことが(多分)ない映画だったんですよ。
そういった、よくは知らないけれど・・・なんとなく見聞き
したものの点と点をつなぐと・・・歌詞の世界が見えてくる
のかなぁ~~、と思いました。

「!」が付く地名も初めて知りました。
ムスメに教えたら・・・びっくりしておりました。

・・・もう少ししたら私もライヴ報告の記事を書きますが・・・
さぁーて困った、って思ってなかなか手をつけられずに
おります。 (笑)
結局、サラァーッとしか書けませんが・・。 (汗) (^^; 









かつての物語をモチーフに

はるちゃん、コメントありがとうございます。洋楽はかつての物語や聖書の内容を知ってるとより深くて面白い理解ができそうですよね。「白鯨」を読んだ人は自分の中のエイハブ像があると、この曲はなおさら面白いのではないでしょうか。
日本ではほとんどこういったのは聞かないですね。
(例1)おーい、カンダタ、蜘蛛の糸は切れずにのぼれるかい?(芥川龍之介の蜘蛛の糸をモチーフに)
(例2)僕は死にましぇん、とトラックの前に飛び出した達郎のように(101回目のプロポーズをモチーフに)
(例3)Don't worry.i'm wearing...!とつぶやいた安村のように(安心してください、穿いてますよ、のギャグをモチーフに)

たぶん、最後のやつははるちゃんは知らないかも、、、(笑)。一応、今年の流行語大賞にノミネートされてますよ(^o^)。

No title

めったさん、こんばんは。

ところが、です。
珍しいことに、最後の・・・
知っているんですよ。
って、先週だか、先々週だか、初めて聞いたばかりですが。
でも・・・
何が面白いのかが理解できていません。 (笑)

イチイチお笑いに解説を求めるのはナンセンスなのでしょうが。
家族に、今のはどういう意味?って尋ねてしまう私です~~。
101回目・・は、もはやTVすら持っていない頃に流行っていたので、
観たことがないんです。 が、この名ゼリフは私でさえも知っていたので、
いかに世間で流行っていたか、ですねー。
(達郎さんではなくて・・・武田さんですよね?)
我が家では、私に知られているということは「相当有名」という
変な指標があります。 (笑)
  ( *´艸`)
全然洋楽の話でなくてすみませんが。 (^^;

星野達郎

101回目のプロポーズの武田鉄矢さんの役柄が、星野達郎さんって言うのですよー(^o^)。「安心してください!、、、」は知ってましたね(笑)。今年の流行語大賞に選ばれると予想してます(発表は12月1日)。

失礼しました。

おはようございます。
今朝は快晴!!
気持ちの良い朝ですね。

うわ、役名だったんですか?
それは失礼しました。
てっきり、「山下」さんと取り違えたのかと思って、
書き込んでしまいました。
いやですねぇ~~、これだから。 知らないとっ。 (笑)

山下達郎さんと武田鉄矢さん・・なんとなく髪型が
似ていませんか? それで、取り違えをされたのかと・・・
てっきり思い込んで。
そうしたら、役名だったんですねーー。 (^^;

やはり、知らないコト多すぎ・・。 (汗)

流行語。。。
予想、的中となるでしょうか!

ところで・・・
山下達郎さんの話が出たついでに。
先日、某習い事でご一緒した方がコンサートに行かれた、とのこと。
何回も行っていらっしゃるようです。
去年とまた違った曲目で良かったと話されていました。
チケットを取るのが大変らしいです。
あまり大きな会場はお好きでないらしく。
その日も神奈川県民で、近くでとても良かったと。
また、男性のファンが毎回多いらしく。 これは知らなかった私には
意外なお話でした。
そして、達郎さんほどの方でも会場をブッキングするのが大変だと
話されていたそう。
都内近郊、建て替え?だか補修ラッシュで。 
ちょうど良い規模の会場を押さえるのが、このクラスの方でも
大変だと話されていたそうです。 
洋楽ライヴとも関連あるかもしれないので、脱線ついでに。
では。


ライヴ会場不足・・・

はるちゃん、101回目のプロポーズ、またひとつ勉強になりましたね(笑)
ちなみに浅野温子さんが演じるヒロインの名は薫(かおる)さんです。
これがあの名場面だ!どう考えてもタイミング的には轢かれてる…。チャゲ&アスも懐かしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=6Sy3ygmvdUY

ライヴ会場の不足…下にNAVERまとめ、つけました。音楽の楽しみ方としてCD買うよりライヴ、って傾向もありますね。首都圏のライヴ会場不足…。日本を世界ツアーから外されると困るな…。東京を外して、大阪や名古屋が増える、ってこと、ないのかな…。
http://matome.naver.jp/odai/2142807372473068701